テクニカル分析

概要

テクニカル分析は価格・出来高データから将来の値動きを推定する手法である。商品先物市場ではトレンドが形成されやすく、テクニカル指標の有効性が多くの実証研究で確認されている [1]。複数の指標を組み合わせた総合的なアプローチが推奨される。

理論的背景

テクニカル分析の有効性は、市場参加者の行動バイアス(アンカリング、ハーディング、処分効果)に起因する。商品先物市場では、実需筋のヘッジ行動が価格の系列相関を生み出し、テクニカル指標にエッジを与える [1][2]。

戦略1: EMA + ADX トレンドフォロー

前提条件

  • 日足または60分足の OHLCV データ

  • トレンドが明確な市場環境

実装手順

  1. 20日EMAを計算し、価格の位置を確認する

  2. ADX(14日)を計算し、トレンド強度を判定する

  3. ADX > 25 かつ価格が EMA 上方 → 買いシグナル

  4. ADX > 25 かつ価格が EMA 下方 → 売りシグナル

  5. ADX < 20 → トレンドなし、シグナル無効

パラメータ

パラメータ

推奨値

根拠

EMA期間

20日

中期トレンドの捕捉に適切

ADX期間

14日

Wilder の原著推奨値

ADXトレンド閾値

25

実務上の標準閾値

ADXレンジ閾値

20

トレンド不在の判定

適用商品

商品

適合度

備考

流動性が高く、トレンドが形成されやすい

白金

出来高が十分

原油

ボラティリティが高くトレンドが明確

金ミニ

金と同等の特性

ゴムRSS3

トレンド形成時に有効

データ参照

  • OHLCV: data/csv/金_YYYYMM_day.csv, data/csv/金_YYYYMM_60min.csv

  • 板情報: data/orderbook.jsonac: "0001"

戦略2: CCI(コモディティ・チャネル・インデックス)

前提条件

  • 日足の OHLCV データ

  • レンジ相場からトレンド相場への転換判定に有効

実装手順

  1. CCI(20日)を計算する

  2. CCI > +100 → 過熱買い状態、調整局面の可能性

  3. CCI < -100 → 過熱売り状態、反発の可能性

  4. CCI がゼロラインを上抜け → 買い転換シグナル

  5. CCI がゼロラインを下抜け → 売り転換シグナル

パラメータ

パラメータ

推奨値

根拠

CCI期間

20日

Lambert の原著推奨値

過熱閾値

±100

標準偏差に基づく統計的閾値

適用商品

商品

適合度

備考

過熱判定の精度が高い

原油

ボラティリティ環境での反転検出

堂島コメ平均

限定的な流動性を考慮

データ参照

  • OHLCV: data/csv/金_YYYYMM_day.csv

戦略3: マルチタイムフレーム分析

前提条件

  • 複数の時間足データ(日足 + 60分足 + 5分足)

  • 流動性が十分な商品

実装手順

  1. 日足で大局的なトレンド方向を確認する(EMA + ADX)

  2. 60分足でエントリータイミングを判定する(CCI またはRSI)

  3. 5分足で精密なエントリーポイントを決定する

  4. 上位時間足のトレンド方向に逆らわないポジションのみ取る

パラメータ

パラメータ

推奨値

根拠

上位足

日足

トレンド方向の確認

中位足

60分足

エントリー判定

下位足

5分足

精密なタイミング

適用商品

商品

適合度

備考

tick~month の全時間足データが利用可能

金ミニ

同上

白金

同上

原油

tick~month の全時間足データが利用可能

ゴムRSS3

tick~month あり。夜間立会が19:00までと短い点に注意

データ参照

  • OHLCV: data/csv/金_YYYYMM_day.csv, data/csv/金_YYYYMM_60min.csv, data/csv/金_YYYYMM_5min.csv

戦略4: ボリュームプロファイル / VWAP

前提条件

  • ティックデータまたは1分足データ

  • 日中取引に適した流動性のある商品

実装手順

  1. ティックデータから価格帯別の出来高分布を構築する

  2. 出来高が最も集中する価格帯(POC: Point of Control)を特定する

  3. 価格が POC 上方で推移 → 買い優勢、下方 → 売り優勢

  4. 出来高が少ない価格帯は価格が素早く通過する(低出来高ノード)

  5. VWAP を基準にポジション方向を判定する

適用商品

商品

適合度

備考

ティックデータが利用可能、出来高11,649

金ミニ

ティックデータが利用可能、出来高10,849

白金

ティックデータ利用可能、出来高2,562

堂島金

出来高3,474

データ参照

  • OHLCV: data/csv/金_YYYYMM_tick.csv, data/csv/金_YYYYMM_1min.csv

リスクと注意点

  • テクニカル分析はレンジ相場でダマシシグナルが頻発する

  • パラメータの過剰最適化(カーブフィッティング)に注意する

  • ファンダメンタルズの急変(経済指標発表、地政学イベント)にはテクニカル指標が追随できない

  • 低流動性商品ではスリッページがシグナルの期待値を損なう可能性がある

出典

  1. Park, C.H. and Irwin, S.H. “What Do We Know About the Profitability of Technical Analysis?”. Journal of Economic Surveys, 2007. https://ssrn.com/abstract=603481

  2. Szakmary, A.C., Shen, Q. and Sharma, S.C. “Trend-Following Trading Strategies in Commodity Futures: A Re-Examination”. Journal of Banking & Finance, 2010. https://doi.org/10.1016/j.jbankfin.2009.07.003


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